声量を上げる・鍛える為にはどんなトレーニングが必要なのか?
ボイストレーニングは「これさえやれば高い声出る!」「これさえやれば声量が上がる」という考え方ではなく、様々な角度のトレーニングが絡み合い上達していきます。

なので今回は声量を上げる方法を例にとって説明させていただければと思います!

  • 「大きな声で歌えない!」
  • 「歌になると、話し声よりも小さな声しか出ない!」
  • 「音程に余裕がある所は大きな声で歌えるが高音部分になると声が小さくなるので声量を上げたい!」
  • 「ある程度、声量はあるがプロのアーティストのようにもっと迫力のある歌をうたう為に声量を鍛えたい!」

 

人によって悩みの種類やレベルは違いますが、ボイストレーナーをしていて、「声量を上げたい、鍛えたい 」という要望も「高い声で歌いたい!」という要望と同じくらい生徒さんから受けます。

 

しかし、「声量を上げる、鍛える」為には、多角的な要素でトレーニングを積まないといけないので 、一言では説明しづらいのが事実です。

 

なので、このコラムでは

  • 「声量を上げる、鍛える」為にはどのような種類のボイストレーニングを積まないといけないのか?
  • それぞれのボイストレーニングが声量にどのように影響してくるのか?

という事をできるだけ分かりやすく、簡単に説明させていただこうと思います。

声量を上げるトレーニングは「うちわ」をあおぐイメージに似ている

冒頭でもお話ししましたが、「どうすれば声量が上がるのか?」という質問は、様々な要素が絡み合うので一言で答えるのは難しいです。

 

私もボイストレーナーをやっていて、生徒さんからこの手の質問を受けた時に「どうすれば、分かりやすく、イメージしやすく説明できるかな~」と悩んでいた時期があります。

 

そこで、一つ思い浮かんだのが、「声量を上げるトレーニングのイメージは「うちわ」をあおぐイメージに似ている」という事だったのです。

 

それでは説明していきましょう。

声量を上げるトレーニングの種類

声量を上げるトレーニングの種類は大きく分けて

  • ブレストレーニング
  • 声帯トレーニング
  • 共鳴トレーニング

の3種類があり、どれか一つが未発達だと思うように声量は上がりません 。

 

それでは早速、その3種類のトレーニングは声量を鍛えるのにどのような影響を及ぼすのか「うちわ」を使って説明していきましょう。

 

まずは下の図をご覧下さい。

「うちわ」で風を起こす為には

  1. 「うちわ」を手であおぐ
  2. あおいだ力を風に変える
  3. 作った風を増大させる

という動作で風が起こるとしましょう。

 

そうすると、

  1. 「うちわを手であおぐ」は「声の元となるブレスを鍛えるブレストレーニング」
  2. 「あおいだ力を風に変える 」は「声の元を作る作る声帯を鍛える声帯トレーニング」
  3. 「作った風を増大させる」 は「声の元を増大させる共鳴腔」

とよく似た作用をするのです。

※「うちわ」をあおぐ作用自体に「③作った風を増大させる」という動きはないのですが、イメージしやすいように付け加えさせていただきました。

 

それでは順に詳しく説明していきましょう!

「うちわ」をあおぐ力とブレストレーニング

まずは、下の図を見て下さい。

「うちわ」をあおいで風を作り出す時には、まず「うちわ」をあおがなければなりませんよね。

 

そして、「うちわ」をあおぐ力が強ければ強いほど、大きな風を作り出す事ができます。

これは、声量を上げるトレーニングで言う所のブレスの役割に似ています 。

 

歌声は、そもそもブレスから作られます。

そのブレスを体内に取り込める量が多ければ多いほど、吐き出せる量も多くなり声量も上がってきます。

 

なので、「うちわ」をあおぐ力が足りない時は、そもそも作れる風が少ないように、体内に取り込める空気の量が少なければ、声量も上がらないという事が言えます。

 

そういう理由から、声量が足りない人にまず先にトレーニングしていただきたいのがブレストレーニングになるのです。

※ブレストレーニングに関する説明やトレーニング方法はこちらに紹介しています!

また、ブレストレーニングをする事によって声量が上がるだけではなく、歌声をコントロールできるようになるので、歌に安定感が増し、様々な歌い回しをする事も可能になります。

「うちわ」の紙と声帯トレーニング

次に「うちわ」の紙と声帯トレーニングの関係です。

下の図を見て下さい。


手で「うちわ」をあおいだ力を「うちわ」の紙で受け止め、風を作りだしています。

この動作は、歌で言う所の声帯の役割に似ています 。

 

「うちわ」の場合、いくら強い力であおいだとして、それを受け止める紙がボロボロだったり穴が開いてたりすると上手く風に変換する事はできないですよね。

 

歌の場合も同じです。

いくら大量のブレスを取り込む事ができて、吐き出せてもそれを声に変換する声帯が上手く機能していないと効率良く歌声に変換できません。

 

なので、声量を上げる為には声帯を鍛えたり、コントロールできるようなるよう声帯トレーニングも必要になるのです。

※声帯トレーニングに関する説明やトレーニング方法はこちらに紹介しています!

また、声帯トレーニングは自由自在に高い声を出す為にも必要不可欠なボイストレーニングなので、ぜひ上のコラムを読んでみて下さい!

生じた風と共鳴トレーニングの関係

またまた、下の図を見て下さい。

この項目は実際には「うちわ」をあおいで風を作るという動作には存在しませんが、みなさんがイメージしやすいように付け加えました。

 

「うちわ」をあおいで生じた風ですが、障害物があったり、向かい風があったりするとかき消されてしまいますよね。

 

それは、歌う上での共鳴効果に似ています 。

体内に取り込んだブレスを声帯で声に変換し、歌声を出そうとしても、歌声の通り道が狭かったり、閉じていたりすると大きな声を出す事はできません。

 

また、反対に追い風で「うちわ」をあおいだ場合、作れる風に勢いが増すイメージができますよね。

 

この効果は、声の元を響かせ増大する事ができる共鳴腔の効果によく似ています。

※共鳴トレーニングに関する説明やトレーニング方法はこちらに紹介しています!

また、共鳴トレーニングは歌声の質などを変える効果もあります

歌を上達させるには様々な種類のトレーニングが必要なんです

これまでで説明した通り、一言で「声量を上げる」為にもいくつかの要素が絡み合い、それらの要素を均等に鍛える事によって効果が表れてきます。

 

これは、「声量を上げる」事だけに限った事ではありません 。

「高い声を出せるようになりたい」であったりとか「表現力を身につけたい」であったりなども複数の種類のトレーニングが必要になってきます。

 

例えば、「高い声を出す」為には、主に必要なトレーニングは声帯トレーニングになるのですが、同時に共鳴トレーニングなども影響してきます。

 

なので、重要なのは一つの種類のボイストレーニングをやり続けても期待する効果は得られにくいという事です 。

 

その上で様々なトレーニングを並行して行う事が、歌の上達の為にあなたが期待する効果を得られる近道になる事を忘れないでください!